Android対応 マスコットアプリプログラミング
松浦 健一郎/司 ゆき 著
B5変形判、1色刷り、400ページ
本体価格 2,800円、出版日 2012/04/27、ISBN 978-4797368833
対応OS:Android OS 2.3以上, Windows 7/Vista/XP
出版社 ソフトバンククリエイティブ
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はじめに
街でスマートフォンやタブレットといった携帯端末を使う人が増えました。出先で調べ物をしたり、待機や移動の時間を有効に使ったりするために、携帯端末は欠かせない道具になりつつあります。
携帯端末の中でも特に人気を集めているのが、Google社が中心に開発しているAndroid端末と、Apple社が開発しているiOS端末です。本書ではAndroidを扱います。Androidには次のような利点があります。
- 各社が発売しているAndroid端末から好きな製品を選択できる
- 開発環境がWindows/Linux/Macに対応している
- 完成したアプリケーションを自由に配布できる
安価な端末が存在すること、手持ちのPCが開発に使用できること、開発や配布に費用がかからないことなどから、気軽に開発を始められるのがAndroidの魅力です。配布に関しては、自分のWebサイトで公開するほか、Googleが運営するサイトに登録することもできます。アプリケーションは無償にすることも、有償にすることも可能です。
本書はマスコットアプリを題材に、Androidアプリケーションの基本的な開発手法を解説します。マスコットアプリは、キャラクターが登場して、色々な機能を提供してくれるアプリケーションです。キャラクターのポーズを変えたり、目や口をアニメーションで動かしたり、セリフ風にテキストやメニューを表示したり、といった機能を持ちます。
マスコットアプリを題材にしたのは、簡単に実現できるため、プログラミングを学ぶのに向いているからです。また、画像や音を入れ替えたり、テキストを追加したり、プログラムを拡張したりすることで、容易にオリジナルのアプリケーションに発展させることができるためです。
Androidアプリケーションの開発には、Java言語を使います。Javaはオブジェクト指向プログラミング言語に一種で、Webアプリケーションの開発などに広く使われています。学校の教育や企業の研修で、Javaを学んだ方も多いでしょう。
本書は、Javaの使用経験がある方にはもちろん、これからJavaを学ぶ方にも楽しく読んで頂けるように配慮しました。Androidの知識はもちろん、Javaの知識についても解説しながら進めますので、安心してお読みください。
本書では、開発環境の設定から始めて、画像を表示したり、音を再生したり、入力を検出したりする簡単なアプリケーションを作成します。後半では、マスコットアプリとして使いやすい形にアプリケーションをまとめるとともに、加速度センサーやカメラといった、Androidらしい機能も活用します。最後には、完成したアプリケーションを公開する方法を紹介します。
本書を読み終える頃には、Androidアプリケーションを開発して公開できる実力がつくはずです。気軽にAndroidプログラミングを始めるきっかけとして、本書をご愛用頂けましたら幸いです。
特色
Androidプログラミングの知識を、楽しいマスコットアプリの制作を通じて学ぶ本です。イラストレーターの狐印(こいん)氏による、魅力的なキャラクターもお楽しみください。
- Android OS 2.3以上に対応しています。
- 開発機材はWindowsマシンを使います。
- 開発言語はJavaを使います。これからJavaを学ぶ方のために、Javaの文法も説明します。
- 開発環境はEclipseを使います。操作手順を詳しく解説します。
- 各章ごとに独立したサンプルプログラムを用意しました。全部で20個のサンプルがあります。
- Androidアプリケーションの作成、実行、配布の方法を学べます。
- 基本的な技術として、画像と文字の描画、アニメーション、タッチによる入力、効果音を学びます。
- Androidらしい技術として、カメラ、加速度センサー、他のアプリケーションの起動を学びます。
- キャラクターは表情が異なるポーズが4種類、全ポーズに目と口のアニメーションつきです。
サンプルより
キャラクターの表示 |
メインメニュー |
タッチ操作で拡大縮小 |
カメラで背景を撮影 |
目次
Part 1 Androidプログラミングの基礎
Chapter 1 Androidとは何か?
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Androidの特徴
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端末ごとの違い(端末の形態、画面の解像度、CPU/GPU、OSのバージョン)
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Androidのバージョン(バージョンとAPI)
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Androidの開発環境
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アプリケーションの公開方法(マーケットを利用する利点、自分で公開する利点)
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マスコットアプリの開発(キャラクターの画像、アプリの機能、アプリに必要なもの)
Chapter 2 開発環境の整備
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Androidの開発に必要な環境
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JDK(JDKのダウンロード、JDKのインストール)
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Android SDK(Android SDKのダウンロード、Android SDKのインストール)
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Eclipse(Eclipseのダウンロード、Eclipseのインストール)
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ADT(ADTのインストール)
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エミュレータの設定(AVD Managerの設定)
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実機の接続(Android端末とPCの接続、端末の接続を確認する)
Chapter 3 最初のAndroidプログラミング
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プロジェクトの作成(プロジェクト作成のウィザード、プロジェクトを構成する項目)
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ビルドと実行(アプリケーションのビルド、アプリケーションの実行)
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エミュレータの操作方法(エミュレータと実機の切り替え、実機のスクリーンショットを撮る)
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ソースプログラムの構成
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メインプログラム(コメント)
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プログラムの詳細(package、import、クラス、スーパークラス、メソッド、オーバーライド、アノテーション、super)
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ソースプログラムの編集(省略表示機能、入力補完機能、エラーの表示)
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デバッグ
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実行時エラーが発生する場合(エラー箇所の特定、デバッガの使用)
Chapter 4 Androidアプリケーションの基本構造
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ドキュメント(APIリファレンス)
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アクティビティ(アクティビティのライフサイクル)
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アクティビティのライフサイクルに関する実験(アプリケーションの作成、プログラムの説明)
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アプリケーションの実行(ログを表示する、ログを確認する)
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コンポーネント(コンポーネントの種類、コンポーネントの起動)
Part 2 マスコットアプリの作成
Chapter 5 キャラクターの表示
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画像の表示(画像を表示する方法、画像の準備)
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画像を表示するアプリケーション(プロジェクトを作成する、ソースプログラムを編集する、importの自動入力)
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画像の追加(リソースに画像を登録する、画像を格納するフォルダを追加する、画像のサイズ)
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独自のビューを定義する(サブクラスの定義、コンストラクタの定義、画像の取得、描画メソッドの定義、画像の表示位置)
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画像の重ね合わせ(画像を重ねて表示するアプリケーション、目や口を変化させる、目と口の画像の大きさと位置)
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いろいろなポーズのキャラクターを表示する(多次元配列を使った画像の管理、画像の取得、画像の表示)
Chapter 6 キャラクターを動かす
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一定時間ごとに画像を切り替えるアプリケーション(アクティビティが開始・停止したときの処理、描画処理、画像の切り替えタイミング)
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画像をフェードイン・フェードアウトで切り替える(ハンドラの初期化、ポーズの切り替え、アニメーションのタイミング設定、キャラクターの描画)
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まばたきのアニメーション(メッセージの処理、目の更新、まばたきの間隔)
Chapter7 テキストを表示する
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テキストを表示するアプリケーション(フォントの設定、テキストの宣言、枠の描画)
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テキストの描画(文字位置の調整、ビューの描画)
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アニメーション付きでテキストを表示するアプリケーション(ハンドラの初期化、テキストの更新)
Chapter8 タッチによる入力操作
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キャラクターの座標と拡大率を設定するアプリケーション(上下左右の移動、拡大縮小、キャラクターの描画)
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ドラッグ操作でキャラクターを移動する(タッチイベントの処理、ドラッグの開始・継続)
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ピンチ操作でキャラクターを拡大縮小する(タッチイベントの処理、ピンチの開始・継続・終了)
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ダブルタップで座標と拡大率をリセットする(ジェスチャーの検出、インターフェイス、ジェスチャーの処理を簡単に記述する)
Chapter 9 サウンドの再生
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サウンドの再生(サウンドファイルを登録する、サウンドの再生・停止、サウンドの操作に関する各種のメソッド、対応するサウンドの形式)
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指定したタイミングでサウンドを再生する(サウンドの初期化・破棄・再生)
Chapter 10 マスコットアプリの構築
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アプリケーションの概要(クラスの分離、スクリプト)
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アクティビティのクラス(アクティビティクラスの要点)
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ビューのクラス(メニューの選択、メニューの数と表示位置、メニューの表示)
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サウンドのクラス(サウンドクラスの要点)
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スクリプトのクラス(スクリプトクラスの要点)
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タイマー機能(タイマーの開始・進行)
Chapter 11 Androidらしい機能の活用
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アプリケーションの概要
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アプリケーションの作成(ソースファイル・画像ファイル・サウンドファイルのコピー)
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振動検出によるポーズ変更(リスナーの登録と解除、加速度の検出)
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テキストの非表示(長押しの検出、テキストの描画)
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カメラによる背景の撮影(写真を背景に取り込む、ビューの重ね合わせ)
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カメラビューのクラス(カメラビューの初期化、サーフェスの作成・変更・破棄、プレビューの開始と停止、自動フォーカス、回転、撮影、カメラのパーミッション)
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カメラのスクリプト(カメラの開始、カメラメニューの表示、自動フォーカス、回転、撮影、終了)
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インテントによる地図やブラウザの起動(地図、検索、天気、アプリをランチャーとして利用する)
Chapter 12 アレンジと公開
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マスコットアプリのアレンジ(画像の追加と変更、サウンドの追加と変更、セリフの追加、機能の追加、メニューの整理)
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アプリケーションの公開(パッケージ名の決定、ドメインを所有していないとき、パッケージ名を変更する、マニフェストファイルを変更する)
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アプリケーションのエクスポート(エクスポートの開始、キーストアの選択、キーの作成と選択、出力先の指定)
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アプリケーションの配布(自分のWebサイトにアップロードする、メールに添付して相手に送信する、アプリケーション配布サイトに登録する)
著作権について
本書内ならびにサンプルプログラムに収録されているプログラムの著作権は松浦健一郎と司ゆきに所属し、画像の著作権は狐印氏に所属します。掲載されたプログラムおよび画像を、許可なく複写・複製・転載することはできません。ただしプログラムに関しては、プログラミングの学習目的としての利用に限り、自由に改変して使用することができます。
最終更新