松浦 健一郎/司 ゆき 著
四六判, 2色、200ページ
価格 1,380円+税、出版日 2010/10/29、ISBN 978-4-7741-4429-0
出版社 技術評論社
任天堂の「ファミリーコンピュータ」、通称「ファミコン」は1983年に誕生した家庭用ゲーム機です。ファミコンの登場から実に30年近くが経過しました。
若い世代の方はまったくファミコンで遊んだことがないかもしれません。ファミコンブームのまっただ中に小学生や中学生だった世代の方には、カートリッジを友だちの家に持ち寄って遊んだり、攻略法を伝授し合ったりといった楽しい思い出が、今でも鮮明によみがえることでしょう。
ファミコン以前にも数多くの家庭用ゲーム機がありました。しかし、日本で爆発的に流行したゲーム機はファミコンが最初でした。現在の家庭用ゲーム文化の基礎を作ったのは、ファミコンだといっても過言ではありません。
ファミコンで生まれたゲームの中には、今なお高い人気を誇るシリーズがたくさんあります。『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』などは、ファミコン以後も大ヒットを記録したシリーズの代表例です。
最近のゲームとファミコンのゲームとを比べると、グラフィックスやサウンドなどの進歩には隔世の感があります。しかし、ゲームの本質的な構造を見ると、意外にファミコン時代から変わっていないことにも気づきます。現在のゲームの中に、いまだファミコンゲームが息づいているのです。
今、世の中にあるゲームが面白いか、ゲーム産業が好調かといえば、必ずしもそうとはいえません。ゲームの進化や普及が、やや頭打ちになっているのではないかとさえ感じられます。
本書ではファミコンを振り返りながら、現在のゲームについて考えます。ファミコンという限られた性能のハードウェアにおいて、多くの魅力的なゲームが生まれたのはなぜなのか、そして今ファミコンを超えて、どのように面白いゲームを生み出していくことができるのか、そんなことを考えながら、お楽しみいただけたら幸いです。
ファミコンの特性がゲーム内容を決める!?
キャラクタを表示する「スプライト」機能
パーティの制限を超える工夫
そして現在へ
CPU
8ビットCPU
8ビットを超える値の扱い
クロック周波数
グラフィックス
ゲーム用パソコンから現在へ
スプライト
BG
解像度
色数の削減
パレット
パターン数
メモリ
RAMの容量が少ない理由
RAMの使い方
スタック
ビデオRAMとスクロール
ROMの使い方
サウンド
コントローラ
ROMカートリッジの拡張
いろいろな機能の拡張
ファミコンの性能
当時のパソコンとの比較
現在のゲーム機との比較
ゲームは60分の1秒を周期にして動く
画面を更新できる時間はわずか
VBlankの検出と割り込み
わずかな垂直帰線期間の活用
ダブルバッファ
ファミコンの時代と比べて
ゲームプログラムの処理
6502アセンブリプログラミング
レジスタ
絞り込まれたアキュムレータ(Aレジスタ)の命令
わずか8ビット幅のインデックスレジスタ(X,Y)
スタックポインタ(S)も8ビット
数少ない16ビット幅のプログラムカウンタ(PC)
メモリアクセス
高速なゼロページ
乗算と除算
できるだけ使わない
シフト演算を使う
シフト演算と加算を組み合わせる
テーブルを使う
まじめに乗算する
まじめに除算する
結局,乗算と除算はどうすべきか
実数を使いたいとき
弾を飛ばす角度を限定する
DDAを使う
固定小数点数を使う